「嘘をつく女」は相手を真っ直ぐ見つめる。
この点、男は甘い。
目がきょろきょろ定まらない。
嘘だとすぐ分かる。
「嘘をつく女」が嘘をつくときは、
自分の嘘が見抜かれていないか、
彼女の全身全霊、五感のすべてを動員して
相手を観察している。
男はさらに甘い。
真っ直ぐ見つめられるから、
嘘をつかれているとは思わない。
眉毛のかすかな動き、
眉間の一瞬のしわ、
眼光のかすかな変化、
目線の不自然な流れ、
口元のゆがみ、
無意識の首かしげ、
戸惑いの表情、
吐息、ため息、
誘い出したうなずき、相づち、
これら反応を読み解きながら嘘をつく。
彼女は嘘をつきながらしっかり傾聴しています。
誰に教わったのでもないのに
コミュニケーションの「話すことと聞くことの統一」が
嘘をつくことで実現できているのです。
「嘘をつく女」は生れながらにしてコミュニケーションの天才です。
彼女の唇から漏れくる嘘は芸術作品です。
私はバイオリンを奏でられているような錯覚にとらわれ、
妖しく幻想的な世界にうっとりしていました。
そんな私に「嘘をつく女」は満足げに微笑むのです。
2009年2月18日水曜日
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